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伝承

ろくろ首伝承

公開検証済みろくろくびでんしょう

ろくろ首伝承は東京都を主な舞台として整理する伝承。ろくろ首との関係を持ち、土地と怪異を結ぶ入口になる。

あらすじ

ろくろ首伝承は、夜になると首が長く伸びて家中を見回ったり、油皿の油を舐めたりするとされる、女性の妖怪譚である。江戸の伝承では、宿屋に泊まった旅人が夜中に目を覚ますと、隣室で寝ているはずの宿の女将(おかみ)の首が長く伸びて梁を這い、行灯(あんどん)の油を舐めていた、という筋を取る。本人は朝になると何も覚えておらず、伸びる首は夜の無意識の所業として語られる。中国の「飛頭蛮(ひとうばん)」に淵源を持つとされる外来妖怪で、首と胴体が完全に分離するもの(抜け首)と、首が長く伸びるだけのものの二系統がある。

主な場面

物語は三段で構成される——(一)夜の宿・家中での首伸び、(二)目撃者の遭遇と本人の無自覚、(三)正体露見後の去就(旅人の離脱もしくは女性の追放)。意識と身体の解離、夜の無意識の他者性を可視化する構造で、近世の遊里・宿場文化と結びついて多く語られた。江戸の妖怪文化を代表する女性妖怪の一群を成す。

舞台・伝承地

中心となる伝承圏は東京都を中心とする江戸の宿場・遊里。江戸末期の見世物小屋でろくろ首女が興行された記録が残り、虚実の境界が曖昧な妖怪として近代まで生き延びた。同類が京都・大阪・名古屋にも分布する。

出典

中国『捜神記(そうじんき)』『南方異物志(なんぽういぶつし)』の飛頭蛮譚に淵源。日本では江戸期の妖怪絵巻群に頻出し、鳥山石燕『画図百鬼夜行』(安永五年・1776 年)の「ろくろ首」、佐脇嵩之『百怪図巻』に図像が見える。井上円了『妖怪学講義』、近世の見世物文化研究にも詳しい。

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