
付喪神
琴古主は、福井県福井市を入口にたどる怪異。古い琴に宿る器物の怪異として語られる
琴古主(ことふるぬし)は、永年使われて打ち捨てられた古琴に宿る付喪神。琴の胴に老人の顔と手足が生え、自ら弦を奏でる姿で描かれる。鳥山石燕の図像に由来する近世の器物妖怪で、楽器系の付喪神の代表格として位置づけられる。
琴は雅楽・箏曲に用いられる伝統楽器で、長年弾かれた琴が打ち捨てられ怨念を持って妖怪化したという見立てが定型である。鳥山石燕『百器徒然袋』(1784 年)に「琴古主」として図示され、賛文には主に捨てられて長年経た琴が独り音を発する諧謔が示される。夜半に屋敷の倉や蔵から琴の音が聞こえる、誰もいないのに琴が鳴るといった怪異譚として後代に派生した。
鳥山石燕『百器徒然袋』(天明四年、1784 年)が文献初出。同書は楽器・道具・調度に宿る付喪神を網羅した近世図像妖怪の集大成。近代以降は村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)等の事典類に整理され、国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」にも採録される。
『百器徒然袋』には楽器系の付喪神として「琵琶牧々(びわぼくぼく)」「鈴彦姫」が並置され、琴古主と対をなす。古琴の怪異という枠組みでは、近世の怪談集『絵本百物語』『古今百物語評判』にも類型の楽器怪異が散見される。福井県の地域固有譚としての記録は乏しく、図像由来の付喪神として整理される。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 琴古主
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 琴古主に基づく琴古主の代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した琴古主の地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。