
怪異
平家物語などに登場する怪鳥・合成獣。宮中に現れ、源頼政に射落とされる。
鵺(ぬえ)は、頭は猿、胴は狸、手足は虎、尾は蛇という複合身の怪鳥として語られる怪異。本来は『万葉集』や『古事記』で夜啼く鳥(トラツグミ)の異名として古代から登場し、『平家物語』以降の語りで複合身の妖物として固定された。京の御所を悩ませた化生として、源頼政の鏑矢に射落とされた逸話で知られる。
『平家物語』巻四「鵺」段では、近衛天皇の御代(仁平年間、1151 年前後)、丑の刻に黒雲が紫宸殿の上に立ち込め、その中で帝が物の怪に苦しむのを源頼政が郎党 猪早太とともに射落とす筋が描かれる。射落とされた怪物は前述の複合身として描写される。射貫いた矢の故事から「鵺退治」として後代の謡曲『鵺』、能楽、浮世絵、講談に繰り返し取り上げられた。
古層では『万葉集』巻一・五などで夜鳴く鳥として詠まれ、『古事記』にも「奴延」の表記がみえる。中世以降は『平家物語』『源平盛衰記』が怪物としての像を確立し、世阿弥作と伝わる謡曲『鵺』が能の演目として定着した。鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(1779 年)にも図像が載る。国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に分布事例が整理されている。
鵺の死骸は『平家物語』では宇治川(京都府宇治市)に流されたとされ、流れ着いた淀川下流の芦屋(兵庫県芦屋市)には「鵺塚」が伝わる。京都市中京区の二条公園にも「鵺池」と呼ばれる池があり、矢を洗った場所と伝承される。文献によって「鵼」「奴延」など表記が揺れ、夜鳴鳥のトラツグミと複合身の怪物が同名で語られる二層構造を持つ。
平家物語 鵺退治段
一次文献作者未詳
平家物語に見える鵺退治譚。
https://dl.ndl.go.jp/平家物語 巻第四「鵺」
一次文献作者未詳
巻第四「鵺」に、御所の怪異と源頼政による退治譚が語られる。
https://ja.wikisource.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%AE%B6%E7%89%A9%E8%AA%9E鵺 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
鵺伝承に関する二次整理。
鵺
二次資料Wikipedia contributors
鵺の専用記事。平家物語の退治譚と合成獣的な姿を概説する。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B5%BA