
動物の怪異
猫魈は、島根県松江市を入口にたどる怪異。山野に現れる猫の怪異として語られる
猫魈(ねこしょう)は、山中に棲み大型化した山猫の妖怪。猫又の山中変種として位置づけられ、山犬・狼・狐などと並ぶ山の獣の怪異の一つ。山深い峠・古道・廃寺で旅人に出会い、人を食らうとされる山岳怪異の系譜に属する。
山中の猫の怪異として、『徒然草』第八十九段「奥山に猫またといふもの有りて、人を喰らふなる」を古層に持つ。猫又が家猫の老いた姿として近世に固定される一方、山中で大型化した山猫を「猫魈」「山猫」「山の猫」と呼び分ける地域があった。中国山地・四国山地・出雲・石見の山村では、夜の山道に出会う大きな猫の話として近代まで語り継がれた。
古層は『徒然草』第八十九段。中世以降は『太平記』に猫の妖の記事が散見され、近世には鳥山石燕『画図百鬼夜行』陽の巻(1776 年)の「猫又」と図像的に接続する。柳田國男『遠野物語拾遺』ほか東北・中国地方の山村民俗資料に山の猫の事例が採録される。村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)と国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に整理されている。
猫又(家の老猫)・化け猫(化けた家猫)と並ぶ猫系怪異の三系統の一つとして位置づけられる。山中の獣の怪異という枠組みでは、出雲・石見の「狐持ち」、四国山地の「犬神」「猿神」と並置される。島根の地域固有譚としては松江・石見地方の山道の大猫譚が断片的に伝わるが、独立した文献的整理は限定的で、猫又系怪異の山中変種として位置づけられる。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 猫魈
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 猫魈に基づく猫魈の代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した猫魈の地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。