
日本神話
天忍日命は、天孫降臨に位置づける神格。天孫降臨に供奉する神格として、降臨の護衛と大伴氏の文脈を結ぶ
天忍日命は、『古事記』の天孫降臨段に登場する天津神。邇邇芸命(ににぎのみこと)が高天原から葦原中国へ降る際、天津久米命と並んで前駆として武装供奉する神格として記される。後世の氏族系譜では、大伴氏の祖神として位置づけられる。
『古事記』上巻 天孫降臨段では、邇邇芸命の天降りに先立ち、天忍日命が天津久米命とともに大刀・弓矢を帯び、降臨の道を護る役割を担う場面が記される。「天石靫を取り負ひ、頭椎の大刀を取り佩き、天の波士弓を取り持ち、天の真鹿児矢を手挾み」という装備とともに、邇邇芸命の前を進んで道を切り開く。『日本書紀』神代下 第九段一書にも、同様の供奉場面が記される。
『新撰姓氏録』右京神別に、大伴氏は天忍日命の後裔として記される。天孫降臨段の供奉神は、天忍日命(後の大伴連の祖)と天津久米命(後の久米直の祖)の二柱を中心に語られ、宮廷の武門諸氏族の祖神伝承の起点となる。両系譜は古代の宮廷武門の対をなす関係として、平安期の編纂物まで踏襲される。
奈良時代の歌人 大伴家持(おおとものやかもち、718–785)は『万葉集』に氏祖の伝承を意識した歌を多く残し、宮廷武門としての大伴氏の自己認識を伝える。延暦から弘仁期にかけて編纂された『新撰姓氏録』(弘仁六年・815 年)でも、天忍日命を祖とする系譜は古代氏族系譜の重要な参照軸となる。
天忍日命 あめのおしひのみこと
一次文献國學院大學 古典文化学事業「神名データベース」天忍日命。
https://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/amenooshihinomikoto/古事記 上巻 天孫降臨段
一次文献古事記 上巻 天孫降臨段に基づく神格・系譜・登場場面の整理。
神道・神名辞典 天忍日命項
二次資料神道・神名辞典 天忍日命項を参照した神格名・関連文脈の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。