
伝承
愛宕山天狗伝承は、京都府京都市右京区を入口にたどる伝承。京都府京都市右京区を代表地点として、怪異・変化の文脈で語り継がれる物語を整理する
愛宕山天狗伝承は、京都西山・愛宕山に棲むとされる大天狗・太郎坊(たろうぼう)をめぐる修験道譚である。太郎坊は日本八大天狗の筆頭に数えられ、鞍馬山の僧正坊(そうじょうぼう)と並ぶ畿内修験の代表的天狗として位置づけられる。中世以降、愛宕山は火伏せの神・愛宕権現の聖地として広く信仰され、修行者や愛宕詣の参詣者が太郎坊にまつわる怪異譚を伝えてきた。源義経の鞍馬修行譚や、剣豪・宮本武蔵の愛宕参籠伝承など、武術修行・術法獲得の物語が太郎坊の系譜と接続する。
物語は三段で構成される——(一)愛宕権現と太郎坊の習合、(二)修行者・武芸者の山岳参籠と天狗との邂逅、(三)術法・武芸の伝授譚。京都の北郊・鞍馬山の僧正坊と西郊の愛宕山太郎坊が、平安京を結界する境界霊山として対をなし、修験道の聖地ネットワークを構成する。火伏せ信仰と天狗譚が結びつく点が愛宕の特色である。
中心比定地は京都市右京区嵯峨愛宕町の愛宕神社(あたごじんじゃ)。山頂(標高 924m)に鎮座し、火伏せの神・愛宕権現を祀る。京都市左京区の鞍馬寺、滋賀県大津市の比叡山と並び山岳信仰圏を成す。山中の月輪寺(つきのわでら、嵯峨清滝月ノ輪町)も伝承地として現存し、天台修験の拠点となった。江戸期には全国に愛宕信仰の分社が広がった。
中世天狗説話集『天狗草子』(鎌倉末期成立)、『是害房絵巻(ぜがいぼうえまき)』、軍記『太平記』巻五「相模入道弄田楽并闘犬の事」等に類縁譚を残す。近世以降は『愛宕山縁起』、井上円了『天狗論』、知切光歳『天狗考』等が伝承の整理を行った。愛宕神社社伝、京都市・京都府の文化財解説資料も基礎参照とされる。
怪談・怪異伝承資料 愛宕山天狗伝承
一次文献怪談・怪異伝承資料 愛宕山天狗伝承に基づく愛宕山天狗伝承の代表的な典拠整理。
日本怪異妖怪事典
二次資料日本怪異妖怪事典などを参照した愛宕山天狗伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。