
伝承
石上布都御魂伝承は、奈良県天理市を入口にたどる伝承。奈良県天理市を代表地点として、神話・創世の文脈で語り継がれる物語を整理する
石上布都御魂伝承は、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した際に用いた剣・天羽々斬剣(あめのははきりのつるぎ)、または十握剣(とつかのつるぎ)の霊威を布都御魂(ふつのみたま)として石上神宮(いそのかみじんぐう)に祀ったとする神剣譚である。神武天皇東征の際、熊野で皇軍が荒ぶる神の毒気にあてられて倒れ伏した時、高倉下命(たかくらじのみこと)が霊夢を受けて建御雷神(たけみかづちのかみ)が降した一振りの剣・布都御魂を皇軍に届け、これによって神武天皇が蘇生したと伝えられる。
物語は三段で構成される——(一)素戔嗚尊の八岐大蛇退治と神剣の起源、(二)神武東征における熊野山中での霊剣降下と皇軍の蘇生、(三)布都御魂の石上神宮への奉斎と物部氏(もののべし)の祭祀掌握。布都御魂は神剣そのものではなく、剣に宿る霊威の名と理解され、物部氏が代々祭祀を司り、大和朝廷の武器庫としての石上神宮の性格を成立させた。
中心比定地は奈良県天理市布留町の石上神宮。物部氏の本拠地・布留邑(ふるのむら)に鎮座し、布都御魂大神・布留御魂大神・布都斯魂大神(ふつしみたまのおおかみ)の三神を主祭神とする。明治七年(1874 年)の禁足地発掘では、御本殿背後の禁足地から実際に古代の鉄剣・玉類が出土し、伝承の物質的裏付けが得られた。物部氏ゆかりの饒速日命(にぎはやひのみこと)伝承との関連も深い。
『古事記』中巻神武天皇段、『日本書紀』神武紀の熊野山中段、『先代旧事本紀』「天孫本紀」物部氏祖系譜が文献的基礎を成す。『延喜式』神名帳「大和国 山辺郡 石上坐布都御魂神社 名神大」、『令義解』、平安以降の祝詞・祭式記録に伝承の継承が見られる。石上神宮社伝、奈良県・天理市の文化財解説資料、禁足地発掘報告書(明治期)も基礎参照とされる。
古事記・日本書紀関連資料 石上布都御魂伝承
一次文献古事記・日本書紀関連資料 石上布都御魂伝承に基づく石上布都御魂伝承の代表的な典拠整理。
古事記・日本書紀
二次資料古事記・日本書紀などを参照した石上布都御魂伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
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名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。