
伝承
稲佐浜国譲り伝承は、島根県出雲市を入口にたどる伝承。島根県出雲市を代表地点として、神話・創世の文脈で語り継がれる物語を整理する
稲佐浜(いなさのはま)国譲り伝承は、島根県出雲市大社町の稲佐浜で行われたとされる、出雲神話の中核を成す「国譲り(くにゆずり)」の譚である。『古事記』上巻・国譲り段によれば、高天原(たかまのはら)の天照大御神(あまてらすおおみかみ)は葦原中国(あしはらのなかつくに)を子孫に統治させようと、武甕槌神(たけみかづちのかみ)と経津主神(ふつぬしのかみ)の二神を稲佐浜に派遣する。両神は浜に剣を逆さに突き立てて坐し、地上の主宰神・大国主神(おおくにぬしのかみ)に国譲りを迫る。大国主は二子(事代主神(ことしろぬしのかみ)・建御名方神(たけみなかたのかみ))に協議を委ね、事代主神は承諾、建御名方神は抵抗するが信濃の諏訪まで追いつめられて服属し、国譲りが成立した。
物語は三段で構成される——(一)天津神二神の派遣と稲佐浜での剣立て、(二)大国主神への国譲り要求と二子の対応、(三)大国主神の隠退(出雲大社の創建)と地上の天孫降臨への引き継ぎ。出雲系氏族の主神・大国主神との関係が物語の駆動軸を成し、出雲大社(杵築大社)の創建縁起そのものとして機能する。天津神と国津神の権力交代という日本神話の最大の転換点が、この稲佐浜で起こったとされる。
比定地は島根県出雲市大社町杵築北の稲佐浜(いなさのはま)。出雲大社の西方約 1km の海岸で、毎年旧暦十月(神無月、出雲では神在月)には全国の神々が集まる神迎えの場として、現在も「神迎祭(かみむかえさい)」が稲佐浜で執行される。浜には剣を立てたとされる「弁天島」が屹立し、神話的景観を保持する。
『古事記』上巻 国譲り段、『日本書紀』神代下 第九段一書。出雲国造神賀詞(いずものくにのみやつこのかむよごと)、『出雲国風土記』。延喜式神名帳、出雲大社社伝、島根県古代文化センターの関連研究、文化庁 神話の国出雲関連資料に詳しい。
古事記・日本書紀関連資料 稲佐浜国譲り伝承
一次文献古事記・日本書紀関連資料 稲佐浜国譲り伝承に基づく稲佐浜国譲り伝承の代表的な典拠整理。
古事記・日本書紀
二次資料古事記・日本書紀などを参照した稲佐浜国譲り伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
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