
伝承
鵜戸神宮産屋伝承は、宮崎県日南市を入口にたどる伝承。宮崎県日南市を代表地点として、神話・創世の文脈で語り継がれる物語を整理する
鵜戸神宮産屋伝承は、日向・鵜戸(うど)の海食洞窟を産屋(うぶや)として、山幸彦・火遠理命(ほおりのみこと)と海神の娘・豊玉毘売命(とよたまびめのみこと)の御子・鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと、神武天皇の父)が生まれたとする日向神話の中核譚である。山幸彦は海神宮から地上に帰った後、追って来た豊玉毘売を鵜戸の海辺に迎え、岩窟の中に鵜の羽で葺いた産屋を造って出産に臨んだ。豊玉毘売は「決して産屋を覗かないでください」と頼んだが、山幸彦が約束を破って覗き見たところ、豊玉毘売は本性である八尋和邇(やひろわに、巨大なサメまたは龍)の姿で苦しんでいた。羞恥した豊玉毘売は御子を残して海へ帰り、後に妹の玉依毘売命(たまよりびめのみこと)が御子の養育のために遣わされた。
物語は三段で構成される——(一)豊玉毘売の地上来訪と鵜戸海食洞窟での産屋造営、(二)覗き見の禁忌侵犯と豊玉毘売の本性露呈、(三)御子・鵜葺草葺不合命を残しての豊玉毘売の帰海と玉依毘売の派遣。日向三代の最終段で、神武天皇(鵜葺草葺不合命の御子)の地上系譜への直接の接続点を成す。「見るなの禁忌」と「異類婚」の組み合わせは、各地の異類婚譚の祖型である。
中心比定地は宮崎県日南市宮浦の鵜戸神宮(うどじんぐう)。日南海岸の断崖に開いた海食洞窟の中に本殿が鎮座し、その独特の景観で知られる。境内の「お乳岩」「お乳水」は豊玉毘売の出産にまつわる伝承地で、安産・育児の守護で広く信仰される。青島神社(宮崎市)、宮崎神宮(宮崎市)、鵜戸神社の関連諸社と日向神話圏を共有し、霧島神宮(鹿児島県霧島市)と天孫降臨神話圏で接続する。
『古事記』上巻「鵜葺草葺不合命の段」、『日本書紀』神代下第十段一書(複数)、『日向風土記』(逸文)に中核叙述が残る。鵜戸神宮社伝、近世地誌『日向地誌』(明治十七年・1884 年)、『三国名勝図会』(天保十四年・1843 年)等が伝承を整える。神話学的整理は折口信夫『古代研究』の海宮譚論、神野志隆光の記紀神話研究、谷川健一の南九州神話研究を二次整理として参照する。
古事記・日本書紀関連資料 鵜戸神宮産屋伝承
一次文献古事記・日本書紀関連資料 鵜戸神宮産屋伝承に基づく鵜戸神宮産屋伝承の代表的な典拠整理。
古事記・日本書紀
二次資料古事記・日本書紀などを参照した鵜戸神宮産屋伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
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名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。