
異形
手長足長は、福島県会津若松市を入口にたどる怪異。長い手足を持つ異形の存在として語られる
手長足長(てながあしなが)は、極端に長い手と長い足を持つ二体一組の異形。中国の古典に由来し、日本では会津地方(現・福島県会津若松市)の磐梯山(ばんだいさん)と猪苗代湖の周辺に伝わる伝承で広く知られる。手長は手だけが異常に長く海や湖に手を伸ばして魚を獲り、足長は背に手長を負って遠くまで歩むとされる対の怪異。
会津の伝承では、磐梯山に手長足長という巨人が住み、湖の対岸まで手を伸ばして魚を獲り、雲を起こして日を遮り通行人を苦しめたため、弘法大師(空海)が祈りで磐梯明神を呼び寄せて封じたと語られる。福島県猪苗代湖周辺・耶麻郡・会津若松市に類話が分布する。一方で、中国『山海経』海外東経の長臂国・長股国の記事を出自に持ち、漢籍経由で日本に入った異形像である。
中国『山海経』海外東経・大荒東経に長臂国・長股国の記事があり、日本では鳥山石燕『画図百鬼夜行』陽の巻に「手長足長」の図が載る。会津地方の伝承は会津若松藩の地誌『新編会津風土記』(1809 年)や近代の福島県郷土資料に整理されている。国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」と村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)に項目立てされている。
中国伝来の長臂・長股が日本では「手長」「足長」と分かれて二体の対として描かれる例が多い。鳥山石燕の図像は唐風の人物像として描かれ、会津伝承の磐梯山伝承とは別系統。会津の手長足長譚は弘法大師伝承・磐梯明神信仰と接続して整理される。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 手長足長
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 手長足長に基づく手長足長の代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した手長足長の地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。