
鬼
福島県二本松市安達ヶ原に伝わる鬼婆譚。旅人を殺して食らう老女を、紀州熊野の祐慶上人が観音の力で退治したとされる。能『黒塚』の典拠。
鬼婆(おにばば)は、老女の姿をした鬼や妖怪の総称で、代表的伝承として福島県二本松市安達ヶ原に伝わる「安達ヶ原の鬼婆」(黒塚伝説)がある。Wikipedia 日本語版「安達ヶ原の鬼婆」によれば、安達ヶ原の岩屋に住む老女が旅人を泊めては殺して食らうという鬼女譚で、紀州熊野の修行僧・東光坊祐慶(ゆうけい)が一夜の宿を借り、奥の間に積まれた骸骨の山を見て老女の正体を悟り、観音菩薩の加護を得て退治したと伝えられる。
平安期の和歌に詠まれた安達ヶ原を舞台とし、『拾遺和歌集』の平兼盛「みちのくの安達原の黒塚に鬼こもれりと聞くはまことか」が早期の典拠とされる。中世以降は能の『黒塚』(観世流では『安達原』)として大成し、室町期に成立した謡曲は鬼婆譚を能楽の代表的演目として定着させた。福島県二本松市安達ヶ原の観世寺には鬼婆の住んだ岩屋・骨を埋めた黒塚・退治に使われた出刃包丁が今も伝わり、伝承地として継承される。
歌舞伎『奥州安達原』(近松半二・1762 年初演)として広く流布し、近代以降は新藤兼人監督『鬼婆』(1964 年)など映画・現代演劇にも取り上げられた。同類の鬼女譚として奈良の「がごぜ」・京都の宇治の橋姫・能『紅葉狩』の戸隠山鬼女など、日本各地に老女型・女性型の鬼譚が分布し、女性の老いと畏怖を結びつける文化的表象として民俗学・文学研究で論じられる。
拾遺和歌集 雑下
一次文献藤原公任 撰
『拾遺和歌集』巻第九 雑下に平兼盛「みちのくの安達原の黒塚に鬼こもれりと聞くはまことか」が収録される。安達ヶ原鬼婆譚の早期典拠。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/979061安達ヶ原の鬼婆 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
安達ヶ原の鬼婆伝説(祐慶上人による退治)、福島県二本松市観世寺の伝承地、能『黒塚』など芸能化について整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E9%81%94%E3%83%B6%E5%8E%9F%E3%81%AE%E9%AC%BC%E5%A9%86