
動物の怪異
猫又は、和歌山県和歌山市を入口にたどる怪異。年を経た猫が変化する怪異として語られる
猫又(ねこまた)は、年を経て尾が二股に裂け、人語を話し、二足で立って踊るとされる老猫の妖怪。山中に隠れ住む「山の猫又」と、家で飼われ続けた末に化ける「家の猫又」の二系統がある。化け猫と近縁し、近世以降しばしば混同される。
『徒然草』第八十九段(吉田兼好、14 世紀前半)「奥山に猫またといふもの有りて、人を喰らふなる」が古層の文献記録で、山中に潜む怪獣としての猫又の像を示す。後に長年飼われた家猫が尾を二つに割って妖怪化するという家の猫又の説が広まり、踊る猫、人語を話す猫の語りが近世怪談・歌舞伎に頻出した。和歌山・紀伊半島・四国山地の山村に夜の山道で猫又に出会う譚が伝わる。
『徒然草』第八十九段が古層の文献記録。鳥山石燕『画図百鬼夜行』陽の巻(1776 年)に「猫又」として図示される。藤原定家『明月記』天福元年(1233 年)八月二日条には南都(奈良)で人を食う「ねこまた」の記事があり、古代から中世にかけての記録に散見される。村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)と国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に体系化されている。
近縁の動物怪異として「化け猫」(化けた家猫)、「猫魈(ねこしょう)」(山中の妖猫)、四国の「猫鬼」がある。山の猫又と家の猫又の境界は近世以降曖昧化し、佐賀の鍋島の化け猫騒動・岡山の猫踊りなど、地域ごとの劇化譚と接続する。和歌山・紀伊半島では熊野山系の山猫信仰と複合し、山の聖性と怪異性の二重性を持つ。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 猫又
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 猫又に基づく猫又の代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した猫又の地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。