
伝承
鳥海山大物忌伝承は、山形県遊佐町を入口にたどる伝承。山形県遊佐町を代表地点として、山岳信仰の文脈で語り継がれる物語を整理する
鳥海山大物忌伝承は、出羽国・鳥海山(ちょうかいさん)に鎮まる大物忌神(おおものいみのかみ)をめぐる山岳信仰と火山鎮祭の物語である。大物忌神は古来の火山神で、鳥海山の噴火と関連づけられ、噴火・凶事の予兆として朝廷に奏上される神格として位置づけられた。九世紀以降の度重なる鳥海山の活動に対し、朝廷は累進的に神階を進め、貞観十三年(871 年)の大噴火を契機として神位は急速に上昇した。山頂と山麓の二宮構造で祀られ、山頂本社(御山)と山麓の蕨岡(わらびおか)・吹浦(ふくら)両口宮との重層構造を形成する。
物語は三段で構成される——(一)火山活動と神威の顕現、(二)朝廷への奏上と神階の進階、(三)山頂・山麓の二宮による祭祀体系の確立。記紀には登場しないが『日本三代実録』『日本文徳天皇実録』等の正史に活動の記録が累積し、平安期の国家祭祀における火山神鎮祭の典型例として位置づけられる。
中心比定地は山形県飽海郡遊佐町と秋田県にかほ市にまたがる鳥海山(標高 2,236m)と、山麓の鳥海山大物忌神社(出羽国一宮)。山頂本社、吹浦口之宮、蕨岡口之宮の三社が一体で大物忌神社を構成する。庄内平野・由利平野の鎮守として広く信仰され、月山(がっさん)・湯殿山と並ぶ出羽三山外の主要霊山である。
『日本三代実録』『日本文徳天皇実録』に貞観十三年(871 年)等の鳥海山活動と神階進階の記事が確認できる。『延喜式』神名帳には「飽海郡 大物忌神社 名神大」と記され、出羽国一宮の地位を示す。中世以降は『大物忌神社縁起』、近世地誌『出羽国風土略記』(明和四年・1767 年)等が伝承を整える。山形県・遊佐町の文化財解説資料も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 鳥海山大物忌伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 鳥海山大物忌伝承に基づく鳥海山大物忌伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した鳥海山大物忌伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。