
伝承
羽黒山開山伝承は、山形県鶴岡市を入口にたどる伝承。山形県鶴岡市を代表地点として、山岳信仰の文脈で語り継がれる物語を整理する
羽黒山開山伝承は、出羽三山の里宮・羽黒山(はぐろさん)を、推古天皇の御代に開山したとされる蜂子皇子(はちこのおうじ、能除大師、のうじょだいし)をめぐる山岳開山譚である。崇峻天皇の皇子・蜂子皇子は、父帝の弑逆を逃れて諸国を流浪し、聖徳太子の助けを得て出羽の地に至り、三本足の烏(八咫烏に擬される)に導かれて羽黒山に至り、山頂で羽黒大権現の示現を受けて開山したと伝えられる。続いて月山・湯殿山を開き、出羽三山修験道の祖と仰がれ、山中で険しい行を重ねて八十余歳で入定したとされる。
物語は三段で構成される——(一)皇子の父帝弑逆と諸国流浪、(二)聖徳太子の援助と三本足の烏による導き、(三)羽黒山開山と三山修験道の確立。皇室への迫害から逃れた高貴な人物が辺境の地で霊山を開くという「貴種流離」と「開山譚」の合成は、修験道開山譚の典型構造を示す。山伏修行の祖型として近世まで広く流布した。
中心比定地は山形県鶴岡市羽黒町手向の出羽三山神社・羽黒山三神合祭殿、および山中の蜂子神社(はちこじんじゃ、皇子廟所)。羽黒山頂参詣道の杉並木と五重塔(国宝)、山伏修行の場である南谷・荒澤寺(あらさわじ)一帯が伝承の中心地である。月山神社(庄内町)、湯殿山神社(鶴岡市田麦俣)とともに出羽三山修験圏を構成し、東北山岳信仰の中心を成す。
中世修験道書『羽黒山旧記』『三山雅集』、近世の『出羽三山縁起』『出羽国風土略記』(明和四年・1767 年)、月山法師の口伝に基づく蜂子皇子伝が継承される。芭蕉『奥の細道』元禄二年・1689 年の羽黒・月山・湯殿三山参詣段が文学的継承の代表である。出羽三山神社の社伝、山形県・鶴岡市の文化財解説資料も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 羽黒山開山伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 羽黒山開山伝承に基づく羽黒山開山伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した羽黒山開山伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。