
伝承
湯殿山御神体伝承は、山形県鶴岡市を入口にたどる伝承。山形県鶴岡市を代表地点として、山岳信仰の文脈で語り継がれる物語を整理する
湯殿山御神体(ゆどのさんごしんたい)伝承は、山形県鶴岡市の出羽三山(でわさんざん)の奥院・湯殿山に祀られる御神体をめぐる、語る・写す・聞くを禁忌とする秘儀の伝承である。湯殿山は月山(がっさん)・羽黒山(はぐろさん)と並ぶ出羽三山の中で「死と再生」の地として位置づけられ、岩盤から温泉が湧き出す自然の岩塊そのものが御神体として祀られる。参拝者は素足になり、修験者(やまぶし)の先導で岩を巡り湯に触れる体験を通じて再生を得る、とされる。御神体の姿は「語るなかれ、聞くなかれ」が古来の戒律で、芭蕉も『おくのほそ道』で「語られぬ湯殿に濡らす袂かな」と詠んだ。
伝承は三段で構成される——(一)開山の伝(蜂子皇子の出羽三山開山)、(二)湯殿山の秘儀化と禁忌の確立、(三)出羽三山修験の死と再生の三山巡り。羽黒山=現在、月山=過去、湯殿山=未来の三世観に配置され、修験者の白装束による三山巡拝(はぐろさんざんめぐり)が成立した。本宮を持たず岩そのものを御神体とする原始的祭祀形態を残す。
比定地は山形県鶴岡市田麦俣の湯殿山神社本宮。鶴岡市羽黒町の出羽神社(羽黒山)、月山頂上の月山神社(月山)と合わせて出羽三山を構成する。磐梯朝日国立公園に含まれる。
『出羽三山神社縁起』、松尾芭蕉『おくのほそ道』元禄二年(1689 年)湯殿山下りの段、『三山雅集』。出羽三山神社社伝、文化庁 国指定史跡「羽黒山経塚」関連資料、山形県史 民俗編。中世の修験道書『修験十二箇条』系統にも湯殿山の言及がある。
寺社縁起・社寺由緒資料 湯殿山御神体伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 湯殿山御神体伝承に基づく湯殿山御神体伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した湯殿山御神体伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。