
伝承
大山烏天狗伝承は、鳥取県大山町を入口にたどる伝承。鳥取県大山町を代表地点として、山岳信仰の文脈で語り継がれる物語を整理する
大山烏天狗伝承は、伯耆国・大山(だいせん)に棲むとされる烏天狗(からすてんぐ)の群れと、山主とされる大山伯耆坊(だいせんほうきぼう)をめぐる山岳修験譚である。伯耆坊は日本八大天狗の一人に数えられ、相模大山から大山に転居したとも伝わる。烏天狗は伯耆坊の眷属として山中の樹上に棲み、修験者を試し、迷い人を導き、ときに引き返させたと伝えられる。中世以来の大山寺(だいせんじ、天台宗)の山岳修験と結びつき、参詣道で起こる不思議や夜の音が烏天狗の所業として語り継がれてきた。
物語は三段で構成される——(一)大山修験道と烏天狗群の山棲、(二)伯耆坊の山主としての位置づけと相模大山との関係、(三)参詣者・修験者と烏天狗の遭遇譚。大山は西日本随一の修験霊山で、近畿の比叡山・愛宕山と並ぶ山岳信仰圏を形成し、烏天狗譚は修験者の修行体験を象徴的に物語化する役割を担う。
中心比定地は鳥取県西伯郡大山町大山の大山寺(だいせんじ)と山頂一帯(標高 1,729m)。寺域の阿弥陀堂、大神山神社(おおがみやまじんじゃ)奥宮が山岳信仰の中心を成す。神奈川県伊勢原市の大山阿夫利神社・大山寺は「相模大山」として伯耆坊伝承の前身舞台を伝え、両大山が天狗譚を媒介に接続する点が興味深い。
中世修験道書『大山寺縁起』、近世地誌『伯耆民談記』(江戸中期成立)、『因伯叢書』所収の地誌類に類縁譚が散見される。天狗譚全般の整理は知切光歳『天狗の研究』(昭和五十年代刊)が八大天狗の体系を提示し、伯耆坊の位置づけを論じる。大山寺・大神山神社の社伝、鳥取県・大山町の文化財解説資料も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 大山烏天狗伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 大山烏天狗伝承に基づく大山烏天狗伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した大山烏天狗伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。