
伝承
富士山木花開耶姫伝承は、静岡県富士宮市を入口にたどる伝承。静岡県富士宮市を代表地点として、山岳信仰の文脈で語り継がれる物語を整理する
富士山木花開耶姫伝承は、富士山の主祭神とされる木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやびめのみこと)と、その夫・邇邇芸命(ににぎのみこと)をめぐる天孫降臨後の婚姻譚である。天降った邇邇芸命は笠沙岬で大山祇神(おおやまつみのかみ)の娘・木花之佐久夜毘売命と出会い、一夜の契りで懐妊する。邇邇芸命に貞節を疑われた佐久夜毘売は、産屋に火を放って自らの潔白を示しつつ三柱の御子・火照命(ほでりのみこと)、火須勢理命(ほすせりのみこと)、火遠理命(ほおりのみこと)を産み落とす。後にこの女神は富士山の鎮魂神として迎えられ、火を鎮める女神として富士信仰の中核に位置づけられた。
物語は三段で構成される——(一)笠沙岬での出会いと婚姻、(二)産屋への放火と潔白の証明・三柱の出産、(三)富士山の鎮魂神への転化と火山信仰の確立。短命の桜(さくら)に喩えられる女神は、邇邇芸命が姉・石長比売(いわながひめ)を返したために天皇の命短くなったとする「寿命の起源」譚をも担う。火と桜と山の三層モチーフが結ばれる。
中心比定地は静岡県富士宮市宮町の富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ、駿河国一宮)。富士山八合目以上は奥宮として神域に組み込まれる。山梨県側の北口本宮冨士浅間神社(富士吉田市)、御殿場・須走の浅間社等、全国千三百余の浅間神社の総本宮として富士信仰圏の中心を成す。日向の高千穂峰、笠沙岬一帯と天孫降臨神話圏を共有する。
『古事記』上巻「天孫降臨と木花之佐久夜毘売」段、『日本書紀』神代下第九段一書、『先代旧事本紀』に中核叙述が残る。中世以降は『富士山縁起』、近世地誌『甲斐国志』(文化十一年・1814 年)、『駿河国新風土記』(天保五年・1834 年)等が伝承を整える。富士山本宮浅間大社社伝、富士山世界文化遺産関連の解説資料も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 富士山木花開耶姫伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 富士山木花開耶姫伝承に基づく富士山木花開耶姫伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した富士山木花開耶姫伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。