
伝承
大和砂かけ婆伝承は、奈良県大和郡山市を入口にたどる伝承。奈良県大和郡山市を代表地点として、怪異・変化の文脈で語り継がれる物語を整理する
大和砂かけ婆(すなかけばばあ)伝承は、奈良県大和郡山市を中心とする大和盆地南部の村境や森の中で、夜道を歩く者の頭上から不意に砂をばらばらと降らせる怪異の伝承である。姿は見えず音だけが残ること、振り仰いでも木の枝に何もないこと、家まで送られる形でしばらく砂が降り続けることが定型で、狐狸・狢の仕業とも、老婆の妖怪が木の上から砂を撒くとも伝えられる。大和郡山では神社の杜や竹藪の縁が出現地として語られ、夜参り・夜業の道筋に置かれた村境の怪異として機能した。
物語は三段で構成される——(一)夜道での砂の降下と気配、(二)見上げて確認できない不可視性、(三)家路に至るまでの継続と境界の越境。視覚ではなく聴覚・触覚に訴える怪異であり、夜歩きの恐怖を音響化する点で送り犬・送り提灯と同じ系譜に立つ。「ばばあ」と名指される点は、山姥・鬼婆譚との連続性を示唆する。
中心となる伝承圏は奈良県大和郡山市・天理市・橿原市など大和盆地南部の旧街道沿いの杜・竹藪地帯。京都市周辺の村境にも同名類話が分布し、近畿の街道筋に共通する境界怪異の一群を成す。
柳田國男『妖怪談義』、鳥山石燕『画図百器徒然袋』(天明四年・1784 年)に「砂かけ婆」項目の系譜的言及がある。奈良県教育委員会編『奈良県史 民俗編』、大和郡山市史民俗篇に類話の収録があると伝えられる。地方口承伝承として記紀・延喜式には登場しない。
怪談・怪異伝承資料 大和砂かけ婆伝承
一次文献怪談・怪異伝承資料 大和砂かけ婆伝承に基づく大和砂かけ婆伝承の代表的な典拠整理。
日本怪異妖怪事典
二次資料日本怪異妖怪事典などを参照した大和砂かけ婆伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。