
伝承
佐賀姑獲鳥伝承は、佐賀県佐賀市を入口にたどる伝承。佐賀県佐賀市を代表地点として、怪異・変化の文脈で語り継がれる物語を整理する
佐賀姑獲鳥(うぶめ)伝承は、佐賀県内に伝わる、難産・産褥(さんじょく)で命を落とした女性が変じて夜の田畑や橋のたもとに現れ、抱いた赤子を通りすがりの者に押し付けるとされる怪異譚である。受け取った者が赤子を抱き続けると重さが増し、地蔵や石に変じる、あるいは抱きおおせれば力を授かる、と伝えられる。中国の伝説的怪鳥「姑獲鳥」と、日本の産死霊「うぶめ」が習合した妖怪で、佐賀の伝承では夜の田道や橋脚下に出る地方変種として語られる。
物語は三段で構成される——(一)田道・橋下での女との出会いと赤子の託し、(二)赤子の重みの増大と石化、(三)忍耐に応じた授力もしくは恐怖の終結。母性と死、出産の境界という生命儀礼に関わる怪異で、地蔵信仰・水子供養の民俗実践と接続する。佐賀では川縁・水路沿いの伝承が多く、水辺と境界の死霊として語られる。
中心となる伝承圏は佐賀県佐賀市・小城市・神埼市の有明海沿岸の田園地帯と水路網。九州北部・中国地方一帯に類話が広がり、福岡県・熊本県・大分県の田畑・橋にも姑獲鳥譚が分布する。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』(安永五年・1776 年)に「姑獲鳥」項目の図と詞書がある。『和漢三才図会』(正徳二年・1712 年、寺島良安編)にも「姑獲鳥」項目で中国本草書からの引用が収められる。佐賀県史 民俗編、九州民俗誌に類話の収録があると伝えられる。
怪談・怪異伝承資料 佐賀姑獲鳥伝承
一次文献怪談・怪異伝承資料 佐賀姑獲鳥伝承に基づく佐賀姑獲鳥伝承の代表的な典拠整理。
日本怪異妖怪事典
二次資料日本怪異妖怪事典などを参照した佐賀姑獲鳥伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。