
伝承
蔵王権現縁起は、奈良県吉野町を入口にたどる伝承。奈良県吉野町を代表地点として、山岳信仰の文脈で語り継がれる物語を整理する
蔵王権現(ざおうごんげん)縁起は、奈良県吉野郡吉野町の金峯山寺(きんぷせんじ)に祀られる蔵王権現の感得(かんとく)伝承である。修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ、役小角・えんのおづの)が、金峯山(きんぷせん)に千日の苦行を重ねて末世衆生(まっせしゅじょう)の救済を祈ったところ、まず釈迦如来が現れ、次に千手観音が、最後に弥勒菩薩が現れたが、いずれも姿が優しすぎて末法の世の悪人を救うには足りないと役行者は祈り直す。すると忿怒(ふんぬ)の形相、青黒い肌、右手に三鈷杵(さんこしょ)を振り上げ、左足を高く蹴り上げる「蔵王権現」が顕現し、役行者はこれを末世救済の本尊として桜の木に刻んだと伝えられる。
伝承は三段で構成される——(一)役行者の千日苦行と三仏感得、(二)忿怒尊・蔵王権現の顕現、(三)桜への刻像と金峯山寺本尊への奉安。日本独自の権現(ごんげん、仏が神の姿を取る本地垂迹)の代表的存在で、純粋なインド仏教の尊格ではなく日本修験道が生み出した本尊である。山形県の出羽三山、宮城県の蔵王山も蔵王権現信仰の延長で命名され、修験道の全国展開を示す。
比定地は奈良県吉野郡吉野町吉野山の金峯山寺。本堂・蔵王堂(国宝)は木造建築として国内最大級。吉野山一帯は桜の名所として世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録される。大峯山系(おおみねさんけい)の北端を成し、山上ヶ岳の大峯山寺と合わせて修験道の二大聖地を構成する。
『金峯山秘密伝』(鎌倉期成立)、『日本霊異記』(弘仁年間・822 年頃、景戒著)、『扶桑略記』に役行者の事績が記される。金峯山寺寺伝、文化庁 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」関連資料、修験道書『修験道章疏』。
寺社縁起・社寺由緒資料 蔵王権現縁起
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 蔵王権現縁起に基づく蔵王権現縁起の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した蔵王権現縁起の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。