
山の怪異
覚は、香川県高松市を入口にたどる怪異。人の心を読む山の怪異として語られる
覚(さとり)は、山中で人の心を読む獣形の怪異。猿に似た姿で、対面した者の考えを先回りして口にし、相手を畏怖させるとされる。香川県高松市を含む各地の山間部で語られたと伝えられる山の怪異で、江戸期の図像妖怪としても定着している。
典型的な筋は、深い山中で焚き火をしていると獣形の怪が現れ、こちらが思っただけのことを次々と言い当てる、というもの。心を読まれた者は恐怖と困惑に陥るが、思いがけぬ偶発事(薪が爆ぜて怪に当たるなど)で覚は驚いて逃げ去る、という結末を取る類話が広く語られる。「考えていないことが起きた時に弱い」という性格付けが定型である。
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(1779 年)に「覚」として図示され、毛深い獣人の姿で描かれる。江戸期の説話集・随筆にも類話が散見され、村上健司編著『日本妖怪大事典』(2005 年)、国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」にも事例が収録される。中国地方・四国の山間部の伝承記録にも類話が見える。
近縁怪異として「山童(やまわろ)」「山男」「ヒダル神」と山中遭遇譚の主題を共有する。心を読む怪という性格は、中国の博物書由来の「猩々(しょうじょう)」と一定の連続性を持ち、日本の山中怪異との接点で再構成された妖怪と論じられたと伝えられる。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 覚
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 覚に基づく覚の代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した覚の地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。