
家の怪異
枕返しは、三重県津市を入口にたどる怪異。眠る人の枕を動かす家の怪異として語られる
枕返し(まくらがえし)は、眠っている人の枕の位置を変える、向きを逆にする、あるいは寝具をかき乱す家屋の怪異。子どもの姿、僧形、白い影など姿の伝承は地域により異なる。死の枕の方向(北枕)を嫌う民俗観念と結びつき、忌避と祟りの主題で語られる。
代表的な筋は、寝入った者の枕元・足元に何者かが立ち、目覚めると枕の向きが変わっている、北枕にされている、寝具が乱れているというもの。北枕は死者を寝かせる向きとされ、生者が北枕で寝ることは死を招くと忌避された。枕返しはこの民俗観念を背景に、家屋に住む小鬼・童子・無縁仏の所業として語られる。
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(1779 年)に「枕返し」として図示され、子どもの姿の怪異が眠る人の枕を返す姿が描かれる。近世の怪談集と随筆に類話が散見され、近代以降は柳田國男系の民俗学が死の方向観念・寝具の民俗との関係を整理した。村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)と国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に整理される。
家屋・寝具の怪異として「暮露暮露団」「家鳴」「天井嘗」と並置される。子どもの姿で現れるという面では「座敷童子」と近縁し、寝具を主題とする付喪神「暮露暮露団」とは寝室を共有する近接怪異として位置づけられる。三重県・四国・中国地方の山村では、寝相の悪い子をいさめる教訓譚としても語られた。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 枕返し
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 枕返しに基づく枕返しの代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した枕返しの地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。