
家の怪異
天井嘗は、滋賀県大津市を入口にたどる怪異。家の天井をなめる姿で語られる怪異
天井嘗(てんじょうなめ)は、長い舌で家の天井を嘗めて染みをつけるとされる家屋の怪異。古家の天井に黒い染みや筋が残るのは、夜半にこの妖怪が舐めた跡だと語られる。鳥山石燕の図像集に由来する家屋怪異の代表格。
鳥山石燕『百器徒然袋』(1784 年)に「天井嘗」として図示され、長く伸びた舌で天井を嘗める痩せた異形の姿が描かれる。賛文には、夜更けに屋根裏から下りてきて天井を嘗めるという見立てが示される。古家・空き家・湿気の多い家で天井に染みが浮き出る現象を、この妖怪の所業として説明する民俗的合理化が背景にある。
鳥山石燕『百器徒然袋』(天明四年、1784 年)が文献初出。同書は家屋・調度・道具に宿る妖怪を総合的に図像化した近世図像妖怪の集大成。近代以降は村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)等の事典類に整理され、国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」にも採録される。
家屋の各部を嘗める・汚す怪異として「垢嘗(あかなめ)」(風呂場の垢を嘗める)と対をなし、家の汚れの民俗的合理化の系譜を共有する。家屋怪異としては「家鳴」「枕返し」「目目連」と並置される。滋賀県の地域固有譚としての記録は乏しく、図像由来の家屋怪異として整理される。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 天井嘗
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 天井嘗に基づく天井嘗の代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した天井嘗の地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。