
妖怪
二口女は、栃木県宇都宮市を入口にたどる怪異。後頭部にもう一つの口を持つ女性の怪異として語られる
二口女(ふたくちおんな)は、後頭部にもう一つの口を持つ女性の怪異。表の口は普通の女の口だが、髪に隠れた後頭部の口が獰猛で、髪の毛を蛇のように動かして食物を運び込み大量に食べると語られる。けちな男が継子を飢えさせて死なせた祟り、もしくは妻に食を与えなかった男が罰を受けた譚として語られる。
代表的な筋は、継子に食を与えず餓死させた継母、または妻に食を出し惜しんで死なせた夫が、後の妻に二口女を娶る・自身が二口女となるという因果譚。後頭部の口が「飯を寄こせ」と恨み言を発し、髪を伸ばして握り飯を運び込む描写が定型である。江戸期の怪談集と鳥山石燕の図像で広まり、近世の風刺としての性格も併せ持つ。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』陰の巻(1776 年)に「二口女」として図示され、後頭部の口と髪を箸代わりに飯を食う姿が描かれる。竹原春泉斎画『絵本百物語』(桃山人著、1841 年)にも因果譚を伴う図と解説が載る。近代以降は柳田國男ほか民俗学者が継子いじめ譚との関係を整理し、村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)に整理される。国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に採録。
身体に複数の口・目を持つ類型として「百々目鬼(どどめき)」「赤舌(あかした)」が並置される。後頭部に異なる顔・口を持つ「お歯黒べったり」「のっぺらぼう」とも近縁し、女性の身体変容を主題とする近世怪異群の一翼を成す。栃木県の固有譚としての地域記録は限定的で、近世図像由来の怪異として整理される。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 二口女
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 二口女に基づく二口女の代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した二口女の地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。