
伝承
江戸青行燈伝承は、百物語の最後に現れる青行燈をめぐる江戸怪談。鳥山石燕の妖怪画にも描かれる、語りと禁忌の伝承。
江戸青行燈伝承は、近世江戸で流行した怪談会の場、すなわち百物語(ひゃくものがたり)の最後に現れるとされる女姿の怪異・青行燈(あおあんどん)をめぐる都市怪異譚である。百物語は百本の蝋燭または行燈の灯心を、一話語るごとに一本ずつ消していく座敷遊びで、百話目を語り終え最後の青い行燈の火を消した瞬間、座敷に本物の怪が現れると言い伝えられた。鳥山石燕(とりやませきえん)の妖怪画では、白装束に角の生えた女性が青い行燈のそばに立つ姿で描かれ、百物語の禁忌そのものを擬人化した怪として表現される。
物語は三段で構成される。一つ目は百本の灯と百話の語り、二つ目は一本ずつ灯が消えていく過程の緊張、三つ目は最後の青行燈と化生の出現である。「怪を語れば怪を呼ぶ」という言霊観に基づく禁忌の儀式化であり、近世怪談文化の自己言及的な怪異として位置づけられる。座敷遊びの最後の一話を語らずに残す慣習も、この伝承から派生したと伝えられる。
特定の伝承地を持たず、江戸の町家・武家屋敷の座敷全般を舞台とする。文京区(旧・湯島・本郷)、神田、深川等の文人サロンで百物語が盛んだったと伝えられ、根津・湯島界隈の旧寺町は怪談文化の集積地とされる。江戸東京博物館(墨田区)、太田記念美術館(渋谷区)等で江戸怪談文化の関連資料が公開されてきた。
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(安永八年・1779 年刊)の「青行燈」項を初出とする。背景にある百物語怪談の枠組みは『諸国百物語』(延宝五年・1677 年)、浅井了意『伽婢子』(寛文六年・1666 年)等の草子・怪談集に遡る。近代以降は田中貢太郎、岡本綺堂による怪談文芸での再話を通じて伝承が継承された。
怪談・怪異伝承資料 江戸青行燈伝承
一次文献怪談・怪異伝承資料 江戸青行燈伝承に基づく江戸青行燈伝承の代表的な典拠整理。
日本怪異妖怪事典
二次資料日本怪異妖怪事典などを参照した江戸青行燈伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
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名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。