
伝承
赤坂ののっぺらぼう伝承は、東京都港区を入口にたどる伝承。東京都港区を代表地点として、怪談の文脈で語り継がれる物語を整理する
赤坂ののっぺらぼう伝承は、江戸赤坂の紀州藩邸そばの紀伊国坂(きいのくにざか)に出たとされる怪異譚で、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲、こいずみやくも)が『怪談』に収めた「むじな」の章で広く知られる物語である。夜道を急ぐ商人が、堀端で泣いている女に声をかけると、女が振り向いた顔には目も鼻も口もなく、ただのっぺりとした卵のような肌があった。商人は驚いて走り、屋台のそば屋に飛び込んで助けを求めるが、店主が「その顔こんなだったか」と振り向くと、店主もまたのっぺらぼうであった、と語られる。
物語は二段の「裏切り構造」で組み立てられる——(一)怪異との初遭遇、(二)救いを求めた相手も怪異であったという折り返し。古典怪談の「二度落ち」型の典型で、初遭遇の恐怖よりも救いの拒絶のほうが心理的衝撃を担う。狢(むじな)の化け仕事として説明される点で、関東の狢譚と一連の系譜を成す。
比定地は東京都港区赤坂の紀伊国坂周辺。江戸期の紀州徳川家上屋敷(現在の赤坂御用地・東宮御所一帯)に面した堀端の坂で、夜は人通りが絶える境界地として知られた。江戸怪談の地理に置かれる代表的舞台の一つで、本所七不思議の置行堀(おいてけぼり)と並ぶ。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)『怪談 Kwaidan』(明治三十七年・1904 年)所収「むじな(Mujina)」。原話は江戸期の口承および随筆類で、八雲は東京在住中の聞き取りを基にしたとされる。江戸怪談・近世随筆の系譜に類話が散見されるが、現行知名度は八雲版に拠るところが大きい。
怪談・怪異伝承資料 赤坂ののっぺらぼう伝承
一次文献怪談・怪異伝承資料 赤坂ののっぺらぼう伝承に基づく赤坂ののっぺらぼう伝承の代表的な典拠整理。
日本怪異妖怪事典
二次資料日本怪異妖怪事典などを参照した赤坂ののっぺらぼう伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。