
伝承
武蔵御嶽山お犬様伝承は、東京都青梅市を入口にたどる伝承。東京都青梅市を代表地点として、山岳信仰の文脈で語り継がれる物語を整理する
武蔵御嶽山お犬様伝承は、武蔵国・御嶽山(みたけさん、標高 929m)の武蔵御嶽神社(むさしみたけじんじゃ)に祀られる「お犬様(おいぬさま)」と呼ばれる眷属神・大口真神(おおくちのまがみ)をめぐる山岳信仰譚である。社伝には、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の際に御嶽山中で道に迷ったところ、白狼(はくろう)が現れて山中を導いて山頂に至らせ、その後、大口真神として祀られたと伝えられる。お犬様は火盗除け・憑物落とし・狼害除けの神徳を持ち、武蔵・甲斐・相模・上野等の関東一円に「お犬様」信仰圏が広がる。御札は狼の姿を木版で刷ったもので、家の玄関に祀られて魔除けとされた。
物語の中核場面は三つで構成される——(一)日本武尊の東征と御嶽山中での迷路、(二)白狼の出現と山頂への先導、(三)大口真神への昇格と関東一円のお犬様信仰の展開。狼害と狼信仰の二重構造は秩父三峯神社(埼玉県秩父市)と共通し、関東山地の山岳信仰圏として三峯・御嶽が双璧を成す。家畜(特に蚕)の害敵除けの信仰と結びついた点が特色である。
中心比定地は東京都青梅市御岳山の武蔵御嶽神社。山頂直下に鎮座し、参道沿いには宿坊(御師の家)が並ぶ。三峯神社(埼玉県秩父市三峰)、宝登山神社(埼玉県長瀞町)と関東山地のお犬様信仰圏を共有し、富士山・大山(神奈川県)と並ぶ関東山岳信仰の中核を成す。日本武尊の東征関連地として、関東各地の白鳥神社・走水神社(神奈川県横須賀市)等とも神話圏を共有する。
『日本書紀』景行紀・日本武尊東征段に文献的基礎が見える。中世『御嶽山縁起』、近世地誌『新編武蔵風土記稿』(文化七年・1810 年〜文政十一年・1828 年成立)、菅江真澄の旅日記等が伝承を整える。狼信仰の整理は柳田國男『山の人生』、千葉徳爾『狩猟伝承研究』等が担う。武蔵御嶽神社社伝、東京都・青梅市の文化財解説資料、関東山地の狼信仰調査資料も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 武蔵御嶽山お犬様伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 武蔵御嶽山お犬様伝承に基づく武蔵御嶽山お犬様伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した武蔵御嶽山お犬様伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。