
伝承
英彦山天狗伝承は、福岡県添田町を入口にたどる伝承。福岡県添田町を代表地点として、山岳信仰の文脈で語り継がれる物語を整理する
英彦山天狗伝承は、九州・英彦山(ひこさん、福岡・大分県境)に棲むとされる大天狗・英彦山豊前坊(ひこさんぶぜんぼう)をめぐる修験道譚である。豊前坊は日本八大天狗の一人に数えられ、英彦山を本拠とする修験道の守護者として位置づけられる。英彦山は出羽三山・熊野三山と並ぶ日本三大修験霊場で、中世以来「英彦山三千八百坊」と称される多数の僧坊が並ぶ大修験道場であった。山伏たちは豊前坊の眷属として位置づけられ、修行の過程で豊前坊の試練を受けたと伝えられる。
物語は三段で構成される——(一)英彦山修験道と豊前坊の山主としての確立、(二)山伏の入峰修行と豊前坊との遭遇、(三)武芸者・参詣者への試練と術法伝授。英彦山修験の中世展開と天狗譚は不可分で、修験者の苦行体験が豊前坊の名のもとに物語化された。江戸期の山伏統制(修験道法度)の後も信仰は継続し、明治の修験道廃止令を経て神社神道に再編された。
中心比定地は福岡県田川郡添田町と大分県中津市山国町にまたがる英彦山(標高 1,199m)と、山麓・中腹の英彦山神宮(ひこさんじんぐう、福岡県添田町英彦山)。山伏の宿坊跡・銅鳥居・参道の杉並木が修験道の往時を伝える。出羽三山(山形県)、熊野三山(和歌山県)と並ぶ日本三大修験霊場の一角を成し、九州修験道の中心を担ってきた。
中世修験道書『彦山流記』(鎌倉期成立)、『彦山縁起』、近世地誌『豊前国志』(江戸後期成立)、井上円了『天狗論』、知切光歳『天狗考』が伝承を整える。八大天狗の体系における豊前坊の位置づけは、中世天狗説話集『天狗草子』、『是害房絵巻』にも遡る。英彦山神宮の社伝、添田町・大分県の文化財解説資料も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 英彦山天狗伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 英彦山天狗伝承に基づく英彦山天狗伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した英彦山天狗伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。