
伝承
景行天皇の命を受けたヤマトタケル(倭建命・日本武尊)が、東国の蝦夷と荒ぶる神を平定する遠征譚。焼津の野火、走水の海、伊吹山の神との対峙、能煩野での絶命に至る。
日本武尊東征は、『古事記』中巻 倭建命段および『日本書紀』景行天皇紀に記される遠征譚。西征から戻った倭建命(やまとたけるのみこと)は、景行天皇から比々羅木八尋矛を授かり東国へ向かう。叔母の倭比売命(やまとひめのみこと)から伊勢神宮で草薙剣を授けられ、駿河国焼津では国造の偽計で野火に囲まれるが、草薙剣で草を薙ぎ払い迎え火を放って難を逃れる。相模から上総へ渡る走水(はしりみず)の海では波が荒れ、妃の弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)が身を海に投じて鎮める。蝦夷を服属させた帰途、伊吹山の荒ぶる神を素手で討とうとして神威に打たれ、能煩野(のぼの)で「倭は国のまほろば」の歌を残して没し、白鳥となって飛び去る。
物語は「天皇の命」「神宝の授与」「火難の克服」「海難と妃の犠牲」「東国平定」「神との敗北」「死と白鳥化」という英雄譚の典型構造を取る。草薙剣は天叢雲剣の異名で、八岐大蛇神話と熱田神宮信仰を結ぶ要として機能する。『日本書紀』は弟橘媛の入水と歌を本文に置き、『古事記』は四首の国偲び歌を能煩野で連ねるなど、両書で重点が異なる。
静岡市葵区の焼津神社、横須賀市の走水神社(弟橘媛を祀る)、亀山市の能褒野神社(陵墓を伴う)、滋賀県米原市の伊吹山、名古屋市熱田区の熱田神宮(草薙剣を奉斎)が代表的な伝承地である。白鳥陵は能煩野・古市・旧市(羽曳野)に伝わる。
『古事記』中巻 倭建命段(和銅五年・712 年)と『日本書紀』巻第七 景行天皇紀(養老四年・720 年)が一次資料。『常陸国風土記』『尾張国風土記』逸文にも東征関連伝承が残る。
古事記 中巻 倭建命段
一次文献太安万侶(撰)
古事記中巻に倭建命の東征譚、草薙剣による焼津の難脱、弟橘比売命の入水、能煩野の四首が記される。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/files/51732_50814.htmlヤマトタケル - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
ヤマトタケル東征譚の場面構成と伝承地に関する二次整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%88%E3%82%BF%E3%82%B1%E3%83%AB