
動物の怪異
風狸は、広島県三次市を入口にたどる怪異。風に関わる獣の怪異として語られる
風狸(ふうり)は、風とともに現れる獣形の怪異。中国の博物書由来の異獣で、日本では江戸期の本草・博物書を経て図像妖怪として受容され、広島県三次市など中国地方の山間部でも語られたと伝えられる。猿に似た姿、あるいは小型の獣形で、風を起こす、風に乗って飛ぶとされる。
典型的な筋は、山間の谷や峠で突風が吹いた直後に獣形の姿が一瞬見える、というもの。本草学的には中国南方の山地に棲む獣として『本草綱目』(明・李時珍、1596 年)等に記載されてきた異獣で、日本には江戸期の本草書を経て知識として伝来した。三次盆地や中国山地の山中で、突風と獣の影を結びつけて語る類話が見えると伝えられる。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』陽の巻(1776 年)に「風狸」として図示され、樹上に潜む獣として描かれる。寺島良安『和漢三才図会』(正徳二年、1712 年)にも風狸の項が立てられ、本草学的な異獣として記述される。村上健司編著『日本妖怪大事典』(2005 年)、国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」にも整理されて収録される。
風を起こす獣形の怪異として、日本各地の「鎌鼬(かまいたち)」「鞆絵(ともえ)」など風系怪異と主題を共有する。広島県三次市は江戸期の妖怪絵巻『稲生物怪録』の舞台としても知られ、三次盆地一帯の怪異伝承の中に風狸の系譜が位置づけられたと伝えられる。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 風狸
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 風狸に基づく風狸の代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した風狸の地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。