
動物の怪異
化け猫は、鳥取県鳥取市を入口にたどる怪異。猫が化ける怪異として語られる
化け猫(ばけねこ)は、年を経た飼い猫が人語を話し、二本足で歩き、踊り、人に化けるとされる動物の怪異。十年・二十年と長く飼われた猫が妖力を得るという「物の老いたるは怪となる」思想に基づく。鍋島藩の化け猫騒動など藩主家を脅かした怪異譚で江戸期に広く流布した。
代表的な筋は、長年飼われた老猫が主人の死後その姿に化ける、行灯の油を舐めて立ち上がる、踊りを踊る、人を食い殺すなど多岐にわたる。佐賀の「鍋島の化け猫騒動」、武家屋敷の怪猫譚、宿場町の老婆に化けた猫の話などが知られる。山陰・山陽の山村でも「猫又」と並んで化け猫の語りが伝わり、鳥取県の地誌類にも事例が散見される。
『徒然草』第八十九段「奥山に猫またといふもの」が古層の文献記録。鳥山石燕『画図百鬼夜行』陽の巻(1776 年)に「猫又」の図が載り、化け猫と猫又の境界は近世以降しばしば曖昧化する。近世怪談『耳袋』(根岸鎮衛、18 世紀末〜19 世紀初)、『甲子夜話』(松浦静山、19 世紀前半)、歌舞伎『独道中五十三駅』『鍋島猫騒動』に劇化譚が見える。村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)と国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に体系化されている。
近縁の動物怪異として「猫又」(尾が二つに割れた山中の老猫)、「猫魈(ねこしょう)」、四国・山陰の「妖猫」がある。地域差として、佐賀の「鍋島の化け猫」、岡山の「化け猫踊り」、京都の「行灯舐めの猫」など、藩・地域ごとに固有の筋を持つ。鳥取・島根の山陰圏では山に消えた猫が猫又となる説話と接続する。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 化け猫
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 化け猫に基づく化け猫の代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した化け猫の地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。