
伝承
天照大御神が岩戸に隠れ、神々が相談して再び外へ導く神話。天宇受売命の舞で知られる。
天岩戸は、『古事記』『日本書紀』に記される神話で、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に隠れて世界が暗闇に包まれる場面と、神々が再び招き出す物語。素戔嗚尊(すさのおのみこと)が高天原で田の畔を壊し、神殿に汚物を撒き、機織女を死に至らしめる乱暴を働く。天照大御神は怒り嘆き、天岩戸の中へ姿を隠す。世界は闇に閉ざされ、八百万の神々は天安河原(あめのやすかわら)に集まって対応を協議する。思金神(おもいかねのかみ)の策により、八咫鏡(やたのかがみ)と八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)が用意され、天宇受売命(あめのうずめのみこと)が岩戸の前で神懸かりとなって舞う。神々の歓声を不審に思った天照大御神が岩戸を細く開けた瞬間、天手力男神(あめのたぢからおのかみ)が手を取って引き出し、世界に光が戻る。
物語は四段に整理される——(一)素戔嗚尊の乱行と天照大御神の隠遁、(二)神々の議定と祭具の準備、(三)天宇受売命の神楽と神々の笑い、(四)天照大御神の出現と光の回復。日蝕神話の系譜に位置づけられる一方、神楽の起源、三種の神器のうち八咫鏡と八尺瓊勾玉の登場、中臣氏祖神(天児屋命)と忌部氏祖神(布刀玉命)の祭祀分担の起点として、後世の祭儀・氏族系譜を支える基層神話となる。
代表的な伝承地として、宮崎県西臼杵郡高千穂町の天岩戸神社(西本宮・東本宮)と天安河原宮、長野県長野市戸隠の戸隠神社(奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の五社)が知られる。戸隠神社の社伝では、天手力男神が投げた岩戸が信濃に飛来して戸隠山となったと伝える。三重県伊勢市の伊勢神宮内宮は天照大御神を主祭神として祀り、神話の延長線上に位置する中心的祭祀地である。
『古事記』上巻 天岩戸段(太安万侶撰、和銅五年・712 年)、『日本書紀』神代上 第七段本文・一書(養老四年・720 年)。『日本書紀』では複数の異伝が並記され、登場神格や祭具の細部に異同がある。『古語拾遺』(大同二年・807 年、斎部広成撰)は忌部氏の視点から祭具準備の場面を詳述する。中世の『先代旧事本紀』、近世の本居宣長『古事記伝』にも関連注釈がある。
古事記 上巻 天岩戸段
一次文献太安万侶(撰)
古事記上巻に天岩戸神話の筋が記される。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/files/51731_50813.html天岩戸 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
天岩戸神話と関連地に関する二次整理。